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H忙しいから健康診断を受けなくていい?(『ねんきんネット2013夏号』監修原稿より)


春号に続き、『ねんきんネット2013夏号』(株式会社 法研 発行)に監修したQ&A記事(Answer部分執筆)をブログで紹介します(「社内トラブル よろず相談ページ」)。


Q.「忙しい」「プライバシーの侵害」と一部社員が受診しません(人事課:B)

ソフト開発会社の人事総務課員です。弊社では定期健康診断を実施していますが、社員の中に、忙しいことなどを理由に健康診断を受けない人がいます。

未受診の社員には、健診を受けるよう個々人に連絡したのですがなしのつぶてで、社員の上司を通じるなどして受診を訴えかけましたが「ここ数年かぜひとつひいてないのに健康診断を受けるなんて時間の無駄」「今は忙しいので健康診断なんて受けているヒマがない」など、一向に受診する様子が見られません。また、健康診断を受けても「診断結果はプライバシーに関することだから会社に渡したくない」という社員も出てきました。

忙しいことはわかりますが、社員に健康管理の大切さを理解してもらえないことが、残念でなりません。この様な状況は、社員・会社ともども問題だと思うのですが…。


A.会社には、実施義務、従業員には受診義務があります

事業主は、労働安全衛生法で「事業者は、労働者に対し、医師による健康診断を行なわなければならない」と、定期健康診断の実施が義務付けられています。これに違反すると、50万円以下の罰金が科せられる場合もあります。

さらに、長時間の時間外労働が常態化しているなどの過重労働を強いられている従業員が、病気やけがをしてしまうと、業務災害が認められる場合も多く、事業主は「安全配慮義務」違反として、損害賠償を請求されるリスクがあります。このような従業員に対しては、健康診断の実施は当然のこと、その結果をチェックし、必要に応じて医師の受診や就業方法の見直しなどの対応をおすすめします。
また、常時50人以上の規模の事業場は、健診結果を「健康診断結果報告書」で所轄の労働基準監督署に報告する義務があるので、注意が必要です。

健康診断は、会社の「実施義務」に対して従業員には「受診義務」があります。罰則こそないものの、労働安全衛生法で「労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない」と定められており、受診命令に従わなかった場合、対象従業員に懲戒を課すことも可能で、これを認めた判例もあります(「愛知県教委事件」)。

報道でも話題になりましたが、コンビニ大手のローソンは、本年度から健康診断を受けない社員の賞与を15%、直属の上司の賞与も10%減額する制度を導入しました。

まさに、ご質問のような、仕事が忙しいことなどを理由に健診を受けない従業員対策といえます。



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