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事業場への入退場時間と労働時間


 労働時間をどのように把握するのかは、法律上特段の定めはなく、会社が自由に決定することができます。


 労働基準法では、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日基発第339号)において、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法として、原則として、①使用者が自ら現認する、②タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認するという方法によらなければならない旨が定められています。労働基準監督署は、この通達を根拠としてタイムカード等の客観的な記録により、労働時間を把握するよう指導をしています。この中でも一般的に多くの企業が導入しているのは、タイムカードかと思います。タイムカードは、利用目的によってはその打刻時間をもって労働時間とは判断されていないケースがあります。


 厚生労働省は、「厚生労働省における職員の勤務時間管理については、国の機関として国家公務員法……、人事院規則等に基づき勤務時間報告書等を適切に管理することにより特段の支障なく行っているところであり、また、タイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できないことから、勤務時間管理の手法としてタイムカードの導入は必要でないと考える」(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b158015.htm)と方針を示しています。要するに、タイムカードは庁舎管理の観点から用いており、職員の勤務時間管理の「目的」では用いないということです。


 また、裁判例の中には、「タイムカードを打刻すべき時刻に関して労使間で特段の取決めのない本件においては、タイムカードに記録された出社時刻から退社時刻までの時間をもって実労働時間と推定すべきである」(三晃印刷事件・東京地判平9.3.13)、「被告は当該タイムカードによっては従業員の労働時間の管理を厳密にはしておらず、むしろ、各従業員が記入した地域別収集状況に基本的によっており、従業員からの当該申告を見て疑問のあるところをタイムカードと照らして労働時間管理の正確性を期するために補助的に打刻を指示していたに過ぎず、厳密な打刻管理をしていたようには見受けられないこと、……原告がこのタイムカードをどのようなタイミングで打刻していたのかもあまり明確ではないことなどからすると、原告の請求期間の労働時間を正確に把握するものとしては不十分である」(藤ビルメンテナンス事件・東京地判平20.3.21)等と判示しているものがあり、いかなる目的でタイムカードを利用しているのかを明らかにしておくことは有用であると考えられます。


 つまり、タイムカードはビルや工場などの事業場の入退場を記録する目的で利用し、他方、労働時間管理簿などにより遅刻、欠勤、早退等を把握するような場合、タイムカードは入退場管理する等の目的で利用することを明示していたのであれば、タイムカードの打刻時間をもって直ちに労働時間とはなり難くなります。



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